「このリンク見てください」が増えている

AIに作らせた案内文や企画のたたき台を、取引先やスタッフに共有リンクで渡す。主要なAIサービスの多くにこの機能があり、コピーして貼り直す手間が要らないので、使う人が増えています。

便利な機能です。ただ、渡しているものが自分の想像より多い、という点だけは知っておいたほうがいいと感じています。

図1: 共有リンクでは見せたい部分だけでなく会話全体が相手に届く

出ていくのは「会話ぜんぶ」

共有されるのは、多くの場合そのスレッドの最初から最後までです。見せたいのが最後に出てきた完成版の案内文だとしても、相手が画面を上にたどれば、そこに至るまでのやりとりが全部見えます。

たとえば、催事の告知文を作らせる過程で、去年の売上表を貼り付けて「この規模感で」と指示していたとします。途中で「やっぱりこの表現はやめよう」と言い直した原稿も、試しに入れてみた取引先の実名も、全部そこに残っています。完成版だけを見せたつもりでも、そうはなりません。

紙の書類なら「渡す前に中身を確認する」のは当たり前の動作です。ところが共有リンクは、封筒に入れる作業が省かれているぶん、中身を見ないまま渡してしまいやすい。ここが紙と決定的に違うところです。

もう2つ、気づきにくい点があります。ひとつは、共有範囲の設定です。サービスによっては「リンクを知っている人は誰でも閲覧できる」が初期設定になっています。転送されれば、その先は追えません。もうひとつは、元の会話を消しても共有リンクのほうは生きたまま、という場合があることです。

図2: 共有リンクを社外に出す前に確認する3つの項目

明日やれる一歩

共有リンクを禁止する必要はありません。手間を減らす機能を止めれば、結局は元の非効率に戻るだけです。

代わりに、社内のAI利用ルールに一行だけ足してください。「AIの会話を社外に共有リンクで出すときは、スレッドの最初まで読み返してから」。これだけで、事故のほとんどは防げます。読み返して不安が残るなら、その部分だけをコピーして文章で渡せば済みます。

道の駅や直売所のように、季節ごとに取引先や出荷者とやりとりが増える現場ほど、共有リンクは便利に感じられます。便利だからこそ、使い始める前に一行を決めておく。順番を逆にしないことが大事です。