観光パンフレットの原稿や商品説明文の下書きに、AIを使う場面が増えてきました。そこで一度立ち止まって考えたいのが、「AIの間違いは誰の責任か」という問題です。結論から言えば、お客様や取引先に対して「AIが言ったから」という言い訳は通用しません。
AIは「間違えても責任を取れない道具」
仕入れた食材に問題があったとき、お客様への責任はまず、料理を出したお店にあります。AIも同じです。AIはあくまで下書きを作る道具であり、その文章を会社の名前で世に出すと決めたのは人。だから間違いの責任も、発信した会社が負うことになります。
ここを曖昧にしたまま使い始めると、間違いが起きたときに「使った担当者が悪い」と、一人が責められる不幸な事態になりがちです。悪いのは道具でも担当者でもなく、確認の仕組みがなかったこと。そう捉えるのが出発点です。
現場で起きがちな失敗シナリオ
- 観光パンフレット: AIが「峠道は通年通行可能」と書いたが、実際は冬季閉鎖。苦情の電話は道の駅に届く
- 加工品の説明文: AIが気を利かせて「無添加」「体にやさしい」と書き足し、食品表示のルールに抵触しかける
- 取引先へのメール: 下書きに、頼んでいない値引きの一文が紛れ込み、気づかずそのまま送信
共通するのは、どれも「読めば気づけた」間違いだということです。問題はAIの精度ではなく、読む係が決まっていなかったことにあります。
確認体制は「3つの決めごと」で作れる
- 出口で仕分ける。社内向けのメモはAIの下書きのままでも困りません。社外に出るもの(パンフレット・商品説明・お客様へのメール)は人の確認を挟む、と線を引きます
- 確認する人を名前で決める。「みんなで見る」は誰も見ないのと同じです。文書の種類ごとに、最終確認する人を1人決めます
- 間違えたときの手順を決める。気づいたら誰に知らせ、どう直すか。責める場ではなく、直す手順として決めておきます
現場を見ていて感じるのは、この体制づくりはAI対策というより、もともと曖昧だった「誰が最終OKを出すか」を決め直す機会だ、ということです。手書きのPOPや外注のチラシでも、同じ問題は実はずっとありました。AIで文章を作る量が増えたことで、先送りにしてきた宿題が表に出てきただけなのです。だから一度体制を作れば、AIに限らず発信物全体の質が上がります。怖がって使わない理由にするのではなく、仕組みを整えて安心して使う方向に進みましょう。
明日やれる一歩
社外に出る文書の種類を3つ書き出してください(例: パンフレット、商品説明、お客様へのメール)。そして、それぞれの横に「最終確認する人」の名前を1人ずつ書きます。紙1枚、10分でできるこの表が、あなたの会社の確認体制の第一歩になります。