「英語は誰も読めないので、AIの訳をそのまま貼っています」。道の駅や温泉、直売所でよく聞く言葉です。返信メールに限らず、メニューや掲示、SNSまで、確認なしで出ている翻訳は多いものです。外国語が読めない人でも3分でできる、最低限の確認2ステップを整理します。
ノーチェックの怖さは「失敗が返ってこない」こと
日本語のPOPに誤字があれば、お客様や同僚が教えてくれます。ところが外国語の誤りは、海外のお客様が黙って通り過ぎるだけで、何も返ってきません。苦情がないことは、訳が正しい証拠にはならないのです。
出ていきやすい失敗は3種類あります。一つ目は数字と時間のずれで、「最終受付16時30分」が「16時」に変わる例です。二つ目は「できる・できない」の反転で、「試食は1人1つまで」が「試食はご自由に」になれば現場が困ります。三つ目は注意書きの抜けです。「そば粉を使用」の1行が落ちたまま英語メニューに載れば、アレルギーのある方の健康に関わります。
最低限の2ステップは「戻す」と「読ませる」
ステップ1: 別の道具で日本語に戻し、3種類だけ照合する。 訳文を、翻訳に使ったのとは別のAIか翻訳アプリに貼り、日本語に戻します。見るのは「数字・日時・金額」「できる・できない」「注意書きの有無」の3種類だけです。同じAIに「合っていますか」と聞いても、たいてい「問題ありません」と返るので、確認になりません。
ステップ2: AIに海外客の役で読ませる。 訳文をAIに渡し、「あなたは初めて新潟に来た海外の観光客です。この案内を読んで、迷う点、失礼に感じる点、取る行動を日本語で答えて」と頼みます。逆翻訳では拾えない冷たさや説明不足が見つかります。「タトゥーのある方は入浴できません」が、代わりの案内もなく突き放した文になっていた、といった気づきです。
現場目線では「全部」より「出す場所で順位をつける」
2ステップでも、掲示物が50枚あれば回りません。順位は「間違うと相手が損をする順」です。料金、営業時間、アレルギー、禁止事項が先で、季節の挨拶や商品のこだわり文は後回しで構いません。
8月の記事「AI翻訳をそのまま海外のお客様に送る前に確認したいこと」では、返信メール向けの3点チェックを紹介しました。今回の2ステップはその手前、「誰も読めないから確認のしようがない」現場でも回る最小の形です。
明日やれる一歩
今、店頭やサイトに出ている外国語の掲示から、料金か禁止事項が書かれたものを1枚選んでください。それを別のAIで日本語に戻し、数字と「できる・できない」だけ照合します。3分で終わります。ずれがあれば他の掲示を見直すきっかけになり、なければ「ノーチェック」から「最低限は見た」に変わった最初の1枚です。