AIの文章は「なめらかなほど疑う」が基本
AIに観光パンフレットの原稿や店頭POPの文章を頼むと、数秒で読みやすい文が返ってきます。ただ、この読みやすさがくせものです。AIは文章のなめらかさを優先するため、数字や固有名詞、由来といった細部を、それらしく埋めてしまうことがあります。専門的には「ハルシネーション」と呼ばれますが、要は「自信たっぷりの言い間違い」です。
現場で見てきた失敗は、文章全体が間違っているケースではありません。全体は正しいのに、一か所だけ数字や年号が違う。そこが読者の目に留まり、信用を落とします。だから確認は「全文を読み直す」ではなく「疑う場所を絞る」のが近道です。
疑うべきは4種類だけ
5分で終わらせるために、チェック対象を次の4種類に限定します。
- 数字(距離・所要時間・面積・料金・人数・年号)
- 固有名詞(施設名・品種名・人名・地名の表記)
- 由来・歴史(「〜が始まりとされる」「江戸時代から」など)
- 最新情報(営業時間・イベント日程・制度の名称)
たとえば道の駅の紹介文でAIが「高速のインターから車で10分」「江戸時代から続く伝統野菜」と書いたとき、この2か所こそ疑う場所です。10分が実際は15分だった、伝統野菜の由来は諸説あった、というズレはよく起きます。逆に「地元の食材を味わえる」「四季折々の景色」のような一般的な表現は、事実確認の対象から外して構いません。
5分の手順は3ステップ
- 1分目: 本文を流し読みし、上の4種類に当たる言葉に印を付ける(紙でも画面でも)
- 2〜4分目: 印を付けた箇所を一次情報で照合する。自治体や公式サイト、自社の資料、現場の人への一声が照合先。検索結果の要約やAIへの再質問は照合先にしない
- 5分目: 確認できなかった箇所は削るか、「諸説ある」「目安」と留保をつける
大事なのは3つ目です。確認できないものを無理に残すより、削ったほうが文章の信頼は上がります。AIに「この文の中で事実確認が必要な箇所を箇条書きで挙げて」と頼み、印を付ける作業自体を手伝わせるのも手です。ただし照合はAIでなく人が行う。ここだけは譲れません。
明日やれる一歩
明日AIに文章を作らせたら、送信や印刷の前に「数字・固有名詞・由来・最新情報」の4語をメモに書き、該当箇所に印を付けてみてください。最初は7〜8分かかるかもしれませんが、疑う場所の勘がつくと5分で収まります。AIを疑うのではなく、疑う場所を決めておく。それがAIを日常の道具として使い続けるコツです。