「AIに任せる」より先に「人に戻す」線を引く
AIチャットで顧客対応を始める際、多くの会社が「何を答えさせるか」から考えます。しかし現場で先に決めるべきは逆で、「どこで人に代わるか」です。この線がないと、AIが答えきれない場面で顧客が置き去りになり、電話やメールでの二度手間が起きます。
道の駅の直売所に「今日、枝豆はまだありますか」と聞かれたら、AIは在庫を知らない限り答えられません。答えられない質問に、もっともらしい返事をしてしまうのがAIの落とし穴です。ここを人が引き受ける前提を先に作っておくことが第一歩になります。
最初に決める「人に代わる基準」の4つ
現場で使いやすい基準は、次の4種類に分けると整理しやすくなります。
- 在庫・営業状況など「今」の情報: 当日の入荷、混雑、道路状況。AIは知らないので人へ回します。
- 金額と約束が絡む話: 団体予約、値引き、返品・返金。AIが勝手に条件を約束すると後で揉めます。
- 苦情や体調に関わる連絡: 「商品に異物が」「食べて具合が悪い」。速さより誠実さが要る場面です。
- AIが2回聞き返した: 要望が読み取れない時点で、人へ引き継ぐルールにします。
このリストは業種で変わります。観光施設なら「雪道の通行可否」、6次産業なら「アレルギー表示」が入るでしょう。大切なのは、担当者が紙1枚で説明できる短さに保つことです。
引き継ぎの「型」を先に作る
基準を決めても、引き継ぎ先が曖昧なら機能しません。支援の現場でよく見る失敗は、AIが「担当者にお繋ぎします」と答えたまま、誰にも通知が飛んでいなかったというものです。人に代わると決めた質問は、誰のスマホやメールに届くか、何分以内に返すかまで決めておきます。
初動が遅れやすい時間帯(早朝の仕込み中や繁忙期の週末)は、「本日中にご連絡します」とAIに正直に言わせる方が、下手に答えさせるより信頼を守れます。
明日やれる一歩
過去1か月のお問い合わせを20件ほど並べ、1件ずつ「AIに答えさせてよいか/人が答えるべきか」と印を付けてみてください。半分以上が「人」になっても構いません。それが今の御社の基準であり、AIに任せる範囲はそこから少しずつ広げていけます。AIと設計の型があれば、この振り分けの仕組みは自社でも組み立てられます。