取引先の図面やレシピ、AIに貼っていませんか

「このレシピ、もう少し分かりやすく整えて」。忙しい現場で、ついチャット型の生成AIに貼り付けてしまう場面は珍しくありません。ただ、その内容が取引先から預かった社外秘だった場合、話は変わります。

起こりがちな失敗シナリオ

新潟の食品加工会社が、道の駅向けの新商品を取引先の農家と共同開発しているとします。預かった配合表をAIに貼り、「商品説明文を作って」と頼む。便利ですが、守秘義務契約(NDA)では「第三者への開示」が禁じられていることが多く、外部サービスへの入力が開示にあたると解釈される可能性があります。図面の写真やスクリーンショットを添付する場合も同じです。

観光でも似た話があります。旅行会社から受け取った未公開のツアー行程や仕入れ価格を、そのまま要約させてしまうケースです。

図1: 取引先の資料をAIに貼ると、外部への開示にあたる恐れがある流れ

現場で感じること

支援の現場で多いのは、悪意ではなく「どこまでが社外秘か決めていない」ことによる事故です。禁止だけを伝えると、現場は隠れて使うようになります。使える範囲を先に示したほうが、ルールは守られやすいと感じています。

3色で分ける仕分けの型

  • 赤:図面、配合表、原価、取引先の個人情報。入力しない
  • 黄:社内資料。社名や数字を伏せ、特徴だけを一般化して入力する
  • 緑:公開済みの商品説明やパンフレット文。そのまま使える

配合表なら「麹〇%」と貼るのではなく、「米麹の甘酒の説明文を書きたい。甘さ控えめで道の駅の土産向け」と特徴だけ伝えれば十分です。あわせて、使うAIサービスに「入力内容を学習に使わない」設定があるかも確認しておくと安心です。

図2: 資料を赤・黄・緑の3色に分けて、AIに渡してよい範囲を決める

明日やれる一歩

手元のNDAを1通開き、「秘密情報」の定義と「第三者への開示」の条文に線を引いてください。そのうえで、上の3色に自社の資料を各3つずつ書き出します。10分で終わります。契約の解釈に迷う場合は、顧問の専門家に確認しましょう。

線引きがあれば、AIは安心して使える道具です。まずは緑の範囲から活用を始めましょう。