同じ質問でも、答えは毎回少し違う

生成AIは、同じ質問をしても日や回ごとに違う答えを返すことがあります。文章を確率で選びながら作る仕組みのためで、故障ではありません。ただ「昨日うまくいったから今日も同じ」という前提で業務を組むと、思わぬところでつまずきます。

現場でありそうな失敗

道の駅の担当者が、新商品の惣菜の紹介文をAIで作り、良い出来に満足しました。翌週、同じ依頼文で別の商品を頼むと、文体も長さも変わり、観光パンフレットの他のページと雰囲気が揃いません。さらに、前回は出なかった「地元産コシヒカリ使用」という根拠のない一文が混ざっていました。

怖いのは出来のばらつきそのものより、違いに気づかないまま印刷や掲載に進んでしまうことです。

図1: 同じ依頼文でも先週と今週で文体・長さ・内容が変わることを示す流れ図

再現性がない前提で設計する

コツは、AIに毎回同じ結果を求めず、変わっても困らない仕組みにすることです。

  1. 型を固定する:指示文に文字数、文体、外せない項目を書き、テンプレートとして保存する
  2. 事実は人が渡す:産地、価格、アレルギー表示などは自分で入力し、AIには言い回しだけを任せる
  3. 最後は人が確認する:数字・固有名詞・産地表記は原本と照合してから公開する
  4. 良かった例を残す:うまくいった指示文と出力をセットで保管し、次の見本にする

つまずきやすいのは、前回の出力を見本として貼り、商品名や数字まで引き継いでしまうことです。見本は文体だけを真似させ、事実は毎回入れ直します。

現場で見ていると、うまく使いこなす会社ほどAIの出力を完成品ではなく「毎回変わる下書きの一案」として扱っています。そう割り切ると、ばらつきは「案が増える」という利点にもなります。6次産業のギフト商品のPOPなら、3案出させて一番ふさわしいものを選ぶ、という使い方ができます。

図2: 型の固定・事実は人が入力・最後は人が確認という3つの備えを並べたカード図

明日やれる一歩

今使っている指示文を1つ選び、同じ内容で3回出力してみてください。違いが出た箇所に印をつけると、「ここは人が決める」べき部分が見えてきます。その箇所を指示文に書き足せば、使える型の第一歩になります。3回分の結果をメモに並べて残しておけば、社内で共有する資料にもなります。AIは変わるものと理解して付き合えば、安心して業務に取り入れられます。