新規の取引先とのアポが入った。「相手のことを調べておかなくては」と思いながらホームページを開いたものの、何を見ればいいか分からず、気づけば30分——。そんな経験はないでしょうか。道の駅に食品卸の営業担当が来る。6次産業の加工品を県外のバイヤーに売り込みに行く。旅行会社とツアーの立ち寄り交渉をする。相手を知らないまま臨む商談は不安ですが、下調べに使える時間は限られています。この記事では、商談前の下調べをAIを使って15分で終わらせる手順を、コピーしてそのまま使えるプロンプトつきでまとめます。
15分で終わる理由は「読む」を捨てるから
下調べに時間がかかる一番の原因は、相手のホームページを隅々まで読もうとすることです。しかし商談の場で実際に使うのは、「相手の基本情報」「話の接点になりそうな事実」「当日確かめたい質問」の3つだけ。ゴールを「相手を全部知ること」から「質問を3つ用意すること」に変えると、下調べは15分で足ります。
手順(全5ステップ・合計15分)
- 商談の目的を1行で書く(2分)。「直売コーナーへの出店を提案し、試食会の日程を決めたい」のように、この商談で決めたいことを1行にします。
- 材料を集める(5分)。相手の公式サイトの会社概要と商品・サービスのページ、GoogleビジネスプロフィールやSNSの最新投稿、社名でのニュース検索結果。この段階では読み込まず、文章をコピーして1つのメモに貼るだけです。
- AIに整理させる(3分)。次の章のプロンプトに、目的と集めたメモを貼り付けて実行します。
- 裏取りする(3分)。全部は確かめません。商談で口に出す予定の数字と名前(役職名・店舗数・受賞歴など)だけ、公式サイトの最新ページで確認します。
- 質問を3つ選ぶ(2分)。AIが挙げた「分からないこと」から、商談の目的に近い3つを選んでメモ1枚に落とせば完成です。
プロンプト全文(コピーして使えます)
先に大事な注意をひとつ。AIに「〇〇社について教えて」と直接聞かないでください。AIの知識は古いことがあり、同名の別会社の情報が混ざることもあります。材料を集めるのは人、AIにやらせるのは渡した材料の整理だけ。これが精度の分かれ目です。
あなたは商談準備のアシスタントです。
以下の【集めた情報】だけを使って、商談準備メモを作ってください。
あなた自身の知識で情報を足すことは禁止します。
【商談の目的】
当駅の直売コーナーへの新規出店を提案し、試食会の日程を決めたい
【自社の一言紹介】
新潟県内の道の駅。農産物直売所と食堂を運営
【集めた情報】
(相手の公式サイト・SNS・ニュース記事からコピーした文章をここに貼る)
【出力の形式】
1. 相手の基本情報(事業内容・拠点・規模)を5行以内で
2. 商談の目的に関係しそうな事実を3つ、どの情報から分かったかを添えて
3. 集めた情報だけでは分からないこと(当日確認すべき質問の候補)を5つ
※【集めた情報】に書かれていないことは「記載なし」と書くこと
【商談の目的】と【自社の一言紹介】を自社の言葉に書き換えて保存しておき、【集めた情報】だけ毎回貼り替えて使い回します。
このプロンプトの本体は、実は出力の3番「分からないことを5つ」です。下調べの価値は、知っていることの量ではなく、当日聞くべきことが決まっていることにあります。調べれば分かることをわざわざ質問すれば「調べてこなかったのか」と受け取られ、調べても分からないことを質問すれば「よく見てくれている」と伝わる。質問の質こそ、下調べの成果がいちばん表れる場所です。
現場でよくある落とし穴
AIに直接聞いてしまう。 前述のとおり、もっともらしい間違いが混ざるのがこの使い方です。商談の場で、存在しない事業の話を「御社の〇〇は……」と切り出してしまうのが、下調べの失敗として一番痛い形です。
集めた情報の日付を見ない。 数年前の記事では、社長名も店舗数も変わっていることがあります。だから手順4の裏取りは「口に出す予定の数字と名前だけ」に絞ったうえで、必ず公式の最新ページで確かめます。
メモを作って満足する。 きれいな準備メモができると終わった気になりますが、完成の定義は「質問3つが決まっていること」。手順5までやって初めて、商談で使える下調べになります。
明日やれる一歩
まず、上のプロンプトをスマホかパソコンのメモ帳に保存してください。そのうえで、次に商談やアポの予定がある相手を1社思い浮かべ、手順1の「商談の目的を1行」だけ今日書いてみる。ここまでなら5分かかりません。目的の1行さえ決まっていれば、残りの手順は商談当日の朝でも間に合います。下調べが軽くなると、その分だけ商談の回数を増やせるようになります。15分の型を、自社の営業の道具箱に加えてみてください。