視察案内文が「毎回ゼロから」になっていませんか

道の駅や直売所、農産物の加工施設には、自治体や他地域の事業者から見学・視察の依頼が届きます。ありがたい話ですが、案内文を担当者がその都度メールで書いていると、集合場所の書き忘れや駐車場の案内漏れが起きがちです。当日に「バスはどこに停めればいいですか」と電話が鳴る、というのは多くの施設で聞く話です。

そこで、案内文の「型」を一度決めて、AIに下書きを任せる方法を紹介します。AIと設計の型があれば、担当者が変わっても同じ品質の案内文を出せます。

案内文に入れる項目を先に固定する

図1: 視察案内文に入れる7項目を5つのグループに整理した一覧

AIに書かせる前に、入れる項目を決めておくのが順番として大事です。項目が固定されていないと、AIは毎回違う構成で文章を返し、結局人が直す手間が増えます。施設向けの視察案内なら、次の7項目で足ります。

  1. 日時と所要時間(開始・終了の目安)
  2. 集合場所と駐車場(大型バス可否、雪の時期の注意)
  3. 当日の流れ(説明→見学→質疑の順と時間配分)
  4. 参加費・資料代・試食や購入の有無
  5. 服装・持ち物(加工場に入る場合の帽子・上着など)
  6. 撮影と公開の可否(SNS投稿の扱い)
  7. 連絡先と前日までの変更連絡の方法

特に2番と6番は抜けやすい項目です。新潟では冬場に駐車場の除雪状況で入れる台数が変わる施設もあり、時期に応じた一文を入れておくと問い合わせが減ります。撮影の可否も、加工場の衛生管理や商品のパッケージ情報に関わるため、事前に伝えておく方がお互いに気が楽です。

手順:施設情報を埋めてAIに渡す

  1. 施設の基本情報(住所、駐車台数、見学可能エリア、禁止事項)をメモにまとめる。一度作れば次回以降も使い回せます。
  2. 今回の視察の情報(相手の団体名、人数、目的、希望日時)を追記する。
  3. 下記のプロンプトに1と2を貼り付けてAIに渡す。
  4. 出てきた文章の日時・数字・固有名詞を人の目で確認し、送信する。

施設情報と視察情報を分けて書く理由は、次回に流用できる部分と毎回変わる部分を切り離すためです。分けておけば、2回目以降は【今回の視察】欄だけ書き換えれば済みます。

以下がそのまま使えるプロンプト全文です。「(例)」の部分を自施設の情報に置き換えてください。

あなたは観光・6次産業施設の担当者です。以下の情報をもとに、見学・視察の受け入れ案内文をメール本文として作成してください。

【施設情報】
・施設名:(例)道の駅○○
・住所と最寄りの高速IC:
・駐車場:普通車○台、大型バス○台(冬期は除雪状況により変動)
・見学可能エリア:直売所、加工場(窓越し見学のみ)
・禁止事項:加工場内の撮影、飲食物の持ち込み

【今回の視察】
・団体名:
・人数:
・目的:(例)直売所の売場づくりを学びたい
・希望日時:
・所要時間の希望:

【条件】
・次の7項目を必ず入れる:日時と所要時間/集合場所と駐車場/当日の流れ/費用/服装と持ち物/撮影の可否/連絡先
・丁寧だが堅すぎない文体。相手が読んで10秒で当日の動きが分かる構成
・断定できない事項(天候・在庫など)は「予定」「見込み」と表現する
・箇条書きを使い、全体で600字以内

条件の「600字以内」は、スマートフォンで読む相手を想定した長さです。相手が自治体で、決裁用に詳しい資料が必要な場合は「1000字以内、見出し付き」に変えると、そのまま添付できる形になります。同じプロンプトでも条件の1行を変えるだけで用途が広がるのが、型を持つ利点です。

現場でよくある落とし穴

図2: 毎回ゼロから書く場合と、型とAIで下書きする場合のBefore→After比較

AIが書いた案内文をそのまま送って困るのは、施設側の事情が反映されていないケースです。例えば「加工場は見学できます」と書かれていても、実際は製造日の午前中は衛生管理上入れない、といった制約は施設情報に書かなければAIは知りません。AIは施設の事情を知らないまま、一般的な施設像で文章を埋めてしまいます。

対策は、施設情報メモに「できないこと」を先に書くことです。できることを並べるより、できないことを明記した方が、案内文の事故は減ります。見学不可の時間帯、立ち入れない場所、受け入れ人数の上限。この3つは最初に書いておくと安心です。

もう1つは、相手の目的を聞かずに定型文を送ってしまうことです。売場づくりを学びたい団体と、加工ラインを見たい団体では、当日の流れの組み方が変わります。依頼メールに目的が書かれていなければ、案内文を作る前に一度確認する。この一手間が、視察後の「思っていた内容と違った」を防ぎます。

明日やれる一歩

まず着手するのは、プロンプトの【施設情報】欄を埋めることです。住所、駐車台数、見学できる範囲、禁止事項の4つを、10分ほどで書き出してみてください。ここが一度できれば、次に視察依頼が来たときは相手の情報を足すだけで下書きが出せます。

視察の受け入れは、施設の取り組みを外に伝える機会でもあります。案内文づくりの負担を軽くして、当日の説明に力を注げる体制を整えていきましょう。