何が発表されたのか
東京のAI企業Sakana AIが9月11日、新しいAIモデル「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を発表しました(Impress AI Watch、ITmedia報道)。
このFuguの特徴は「自分で答えを出す1つのAI」ではなく、質問の難しさに応じて裏側で複数のAIを振り分ける仕組みにあります。かんたんな質問は軽くて安いモデルに、難しい多段階の仕事は専門のAIチームを組んで処理し、使う側からは1つのAIに見えます。
2つの違いは狙いです。Fugu Maxは「できるだけ安く、十分な結果を出す」ことを重視し、同等のモデルより4〜6割安いと同社は説明しています。Fugu Ultra v2は「複雑で手順の多い仕事」向けで、主要な性能テストの一部で海外の最新モデルを上回ったと報じられています。ただし、これは同社が示した数値であり、実際の業務での使いやすさとは別の話です。
新潟の現場にとって何を意味するか
まず良い面から見ます。1つ目は、AIの値段がまだ下がり続けるという流れが、今回も裏付けられたことです。「高性能なAIは高い」という前提は、少しずつ崩れています。
2つ目は、「1社のAIに縛られない」考え方が標準になりつつあることです。Fuguは既存の利用者なら設定を1行変えるだけで移行できるとされています。使うAIを後から入れ替えられる設計は、道の駅の予約システムや宿の問い合わせ対応にAIを組み込むときにも、そのまま参考になります。
3つ目は、日本の企業が最前線にいることです。日本語のニュアンスや国内の商習慣に配慮された選択肢が増えるのは、地方の事業者にとって素直に歓迎できる話です。
一方で注意点もあります。今回の発表は開発者向けの「API」という形での提供で、ChatGPTのように画面を開いて今日から触れるものではありません。また、選択肢が増えるほど「うちはどれを使えばいいのか」という判断の負担も増えます。
現場で感じるのは、道の駅や宿の仕事は「難しい仕事」より「かんたんで量が多い仕事」が圧倒的に多いということです。口コミへの返信、商品説明の書き分け、予約メールの定型返信などは、高いAIを使う必要がありません。つまり「安いAIで足りる仕事」と「高性能なAIが要る仕事」を分ける発想は、ツールを選ぶ前に自社の業務側で持っておくと役立ちます。
明日やれる一歩
「AIに頼みたい仕事」を紙に5つ書き出し、「毎日ある単純作業」と「月に数回の難しい判断」に分けてみてください。それだけで、どの料金帯のAIで足りるかの見当がつきます。すでに有料プランを契約している場合は、その仕分けが見直しの材料にもなります。
AIを選ぶ目は、まず自社の仕事を仕分けるところから育っていきます。