ChatGPTを提供する米OpenAIが7月21日(現地時間)、「中小企業向けプログラム」の開始を発表しました。大手AI企業が「小さな会社」を正面から対象にした動きとして、注目しています。
何が発表されたのか
発表によると、プログラムの中身は大きく3つです。1つ目は、経理・販促・ネット通販といった日常業務でのChatGPTの使い方を学べるオンライン研修と導入ガイド。2つ目は、米国内で経営者向けに開かれる対面型の「AIアカデミー」。3つ目は、中小企業の定番業務に合わせた「エージェント」(複数の手順を自動でこなすAIの仕組み)の提供や、海外の会計・通販サービスとの連携です。
あわせて、複数の手順を任せられる新しい仕事用ChatGPTなどの利用者が合計1,000万人に達したことも公表されています。
なぜ大きなニュースなのか
これまでAI各社の主な顧客は、技術者や大企業でした。今回の発表は、「経理も販促も自分でやっている経営者」を名指しで対象にしています。AIが専門家の道具から、現場の道具に変わったという宣言に近いと感じます。
新潟の現場に引きつけると、良い面ははっきりしています。道の駅や小売の実務――売場のPOP作成、売上メモの整理、通販の商品説明文づくり――に合わせた既製の仕組みが増えれば、始めるハードルは下がります。
一方で注意点もあります。研修やアカデミーは当面米国中心で、日本で同じ支援がすぐ受けられるわけではありません。また、1社のサービスに業務を深く預けるほど、料金や規約の変更の影響を受けやすくなります。顧客情報をどこまで入力するかのルールは、結局自社で決めるしかありません。
待つ必要はない、という視点
支援の現場で感じるのは、差がつくのは「ツールを持っているか」ではなく、「自社のどの仕事を任せるか決めているか」だということです。プログラムの日本展開を待たなくても、ChatGPT自体は今日から新潟でも使えます。任せる仕事を決めてある会社は、こうした支援策が来た瞬間にすぐ乗れます。
明日やれる一歩
毎週繰り返している事務作業を3つ、紙に書き出してみてください。その中から「間違えても被害が小さいもの」を1つ選び、ChatGPTに下書きをさせてみる。たとえば直売所の週次ミーティングの議題メモを渡して、箇条書きに整理させるだけでも十分です。
大手が中小企業に本気で目を向け始めた今こそ、自社の「任せたい仕事リスト」を用意しておく好機です。