OpenAIが企業向けAI対応基盤「Presence」を発表
米OpenAIは7月22日(日本時間23日)、企業向けの新しいAIエージェント基盤「Presence(プレゼンス)」を発表しました。電話やチャットでの顧客対応を想定した仕組みで、AIがお客様の質問に答え、社内システムの情報を調べ、あらかじめ承認された操作だけを実行します。
注目したいのはその中身です。発表で中心に据えられているのは、会社が決めたルール、AIがやってよい操作の範囲、そして答えられない場面で人のスタッフへ引き継ぐ手順です。つまり「AIに何でもさせる」のではなく、「任せる範囲を決めて、外に出そうになったら止める・人につなぐ」仕組みそのものが商品の柱になっています。OpenAI自身のサポート窓口でもすでに使われており、電話の75%を人につながずに解決していると同社は説明しています。
なお現時点では一部の大手企業向けの限定提供で、中小企業がすぐに契約できるものではありません。
「任せきりにしない設計」は世界標準だった
新潟の現場にとって、このニュースには二つの面があります。
良い面は、電話・チャットの一次対応をAIが受ける流れが、着実に実用段階へ進んでいることです。人手不足の宿泊業や道の駅で、夜間や繁忙期の「今日は何時まで?」「駐車場はある?」といった問い合わせをAIが受けてくれる未来は、確実に近づいています。
注意したい面は二つ。まず、75%解決という数字は同社の自社事例であり、そのまま自分の業種や客層に当てはまるとは限りません。もう一つは、こうしたツールが手に入っても、「どこまで任せて、どこで人が出るか」を決める仕事は自社にしか担えない、ということです。
私が面白いと感じたのは、最先端のAI企業が力を入れて作ったものが、実は「AIを制限する仕組み」だったという点です。この連載でも、問い合わせチャットボットは範囲を絞り、答えられないときは人に引き継ぐ設計をおすすめしてきました。それは慎重すぎる小さな会社のやり方ではなく、世界の最前線とまったく同じ発想だった、ということになります。
明日やれる一歩
紙を1枚用意して真ん中に線を引き、左に「AIに任せてよい質問」(営業時間、アクセス、定休日など)、右に「必ず人が答える質問」(アレルギーの相談、クレーム、取り置きの約束など)を、思いつくだけ書き出してみてください。10分あればできます。
この1枚は、将来どんなツールを選ぶときにも、AIへの指示書の土台になります。Presenceのような仕組みがいずれ手の届く価格で降りてきたとき、すぐに動けるのは、任せる範囲を先に決めてある会社です。