営業案内は「一度決めて、全媒体に配る」仕事
年末年始やお盆の営業案内は、内容そのものは単純です。何日に休み、何日から通常営業、直売所とレストランで日程が違う、電話は出られない。この程度の情報です。
ところが実務では、店頭の貼り紙、Googleビジネスプロフィール、Instagram、LINE公式、ホームページのお知らせ、電話の留守番メッセージと、出す先が6つも7つもあります。担当者が別々に書くと、貼り紙は「1月3日まで休み」なのにGoogleは「1月4日まで休み」のような食い違いが起きます。道の駅では直売所・レストラン・情報コーナーで営業日が違うことが多く、この食い違いがクレームの元になります。
ここで大事なのは「文章をAIに書かせる」ことではなく、「事実を1回だけ確定し、AIに媒体ごとの形へ変換させる」ことです。事実の確定は人間、書き分けはAI。この役割分担にすると、内容のズレが構造的に起きなくなります。
手順:事実メモ1枚から全媒体を作る
- 事実メモを書く。 施設名、部門ごとの休業日と再開日、営業時間の変更、電話対応の可否、駐車場やトイレなど休業中も使える設備、緊急連絡先の有無を箇条書きにします。ここが唯一の正で、あとの作業はすべてこのメモから派生させます。
- 出す媒体と文字数の制約を列挙する。 貼り紙はA4で1枚、Googleは特別営業時間の設定と投稿、Instagramは画像に載せる短文とキャプション、LINEは吹き出し1つ、ホームページのお知らせ、留守電の読み上げ原稿。媒体ごとに「長さ」と「口調」が違うことを、先にAIへ伝えます。
- プロンプトに事実メモと媒体一覧を貼って実行する。 下のプロンプト全文をそのまま使えます。
- 事実メモと突き合わせて検品する。 日付・曜日・部門名が事実メモと一致しているかだけを見ます。文章の巧さは後回しで構いません。
- 各媒体へ貼り付け、Googleの特別営業時間も忘れず設定する。 投稿だけ書いてもマップ上の「営業中」表示は変わりません。
そのまま使えるプロンプト全文
事実メモの部分だけ書き換えれば、年末年始でもお盆でもゴールデンウィークでも使い回せます。
あなたは新潟県の観光施設の広報担当です。
以下の【事実メモ】だけを根拠に、【媒体一覧】それぞれ向けの営業案内文を作ってください。
事実メモにない情報は推測で足さず、「要確認」と書いてください。
【事実メモ】
- 施設名:〇〇道の駅
- 直売所:12月31日〜1月3日休業、1月4日 9時から通常営業
- レストラン:12月30日〜1月4日休業、1月5日 11時から通常営業
- 情報コーナー・トイレ・駐車場:期間中も24時間利用可
- 電話:12月31日〜1月3日は対応不可(留守電のみ)
- 出荷者の方への連絡:1月4日以降に折り返し
【媒体一覧と条件】
1. 店頭貼り紙(A4・大きな見出し+部門ごとの表形式・150字以内)
2. Googleビジネスプロフィールの投稿(200字以内・特別営業時間に設定する日付一覧も別途出力)
3. Instagram(画像用の見出し20字以内+キャプション150字以内・ハッシュタグ5個)
4. LINE公式アカウントの配信(吹き出し1つ・120字以内・敬語)
5. ホームページのお知らせ(見出し+本文300字以内・部門ごとに段落分け)
6. 電話の留守番メッセージ原稿(読み上げて30秒以内・ゆっくり読める文)
【共通ルール】
- 日付には必ず曜日を付ける
- 「休業」「通常営業」の言葉を統一する
- 誇張した表現や絵文字の多用はしない
- 最後に、6媒体で日付が一致しているかの自己チェック表を出力する
最後の「自己チェック表」がポイントです。AIに媒体ごとの日付を一覧表にさせると、人間の検品が数十秒で終わります。
現場でよくある落とし穴
道の駅や観光施設の営業案内で、実際に起きやすいつまずきを3つ挙げます。
部門の混在。 直売所は開いているのにレストランが休みという日を「営業中」と一言で書いてしまい、レストラン目当ての来客が空振りする。事実メモを部門ごとに分けて書くのは、このためです。
Googleの投稿だけで済ませる。 投稿は書いたのに特別営業時間を設定しないと、地図アプリでは平常どおり「営業中」と出続けます。年末年始の検索はスマホの地図から来る人が大半なので、ここが抜けると貼り紙より影響が大きいです。
留守電の原稿を作らない。 電話を取れない期間に最も問い合わせが増えるのは電話です。文章と同じ内容を、読み上げやすい短文にしておくと、電話口の混乱が減ります。
なぜこの順番が良いのか
「先に文章を書き、あとから事実を直す」順番だと、修正のたびに6媒体を見直すことになります。事実メモを先に固めておけば、変更があっても直すのはメモ1枚とAIの再実行だけです。6次産業の事業者なら、直売所・加工場・ネットショップの出荷停止日を同じメモに足せば、通販の案内文もまとめて生成できます。
もう一つ、AIに「事実メモにない情報は推測で足さない」と指示しておくと、駐車場の利用可否など、書き忘れた項目が「要確認」として浮かび上がります。抜け漏れの検知装置としても働くわけです。
明日やれる一歩
まずは事実メモだけを作ってください。プロンプトも媒体一覧も、まだ要りません。直近の連休について、部門ごとの休業日と再開日、電話対応の可否を箇条書きにし、現場の責任者に「これで合っていますか」と確認する。ここまでできれば、残りの作業はプロンプトを1回動かすだけです。
営業案内は年に数回しか作らないからこそ、毎回ゼロから書くのではなく、型として残しておく価値があります。