春の山菜まつり、夏の花火大会、秋の収穫祭、冬の雪まつり。地域の一年は行事を軸に回っているのに、店の販促だけが場当たりになっていないでしょうか。「気づいたらイベントの1週間前で、告知もPOPも間に合わなかった」という声は、新潟県内の道の駅や観光施設、直売所の現場で本当によく聞きます。この記事では、地域イベントと連動した年間販促カレンダーをAIと一緒に作る全手順を、そのまま使えるプロンプト全文つきで公開します。
全体像:カレンダーづくりは4ステップで回す
先に全体の流れを押さえます。ポイントは「AIに丸投げしない」ことと「作って終わりにしない」ことの2つです。
順番が大事です。いきなりAIに「年間販促カレンダーを作って」と頼むと、どの地域にも当てはまる一般論の表が返ってきます。先に自分の地域と店の情報を棚卸しし、それをAIに渡してたたき台を作らせ、最後に現場の事情で削る。この順番なら、AIの速さと現場の知恵の両方が活きます。
手順1:行事と旬を「1枚のメモ」に棚卸しする
最初にやるのは、AIを開くことではなくメモづくりです。次の3種類を、思いつく範囲で書き出します。
- 地域の行事(桜まつり、花火大会、収穫祭、雪まつりなど。おおよその時期でよい)
- 商品の旬(山菜、枝豆、新米、餅など、売場の主役が入れ替わるタイミング)
- 自店の予定(周年セール、棚替え、施設の点検休業など)
きれいに整理する必要はありません。箇条書きで15〜20行もあれば十分です。ここで書いた「地域の行事」が、そのままカレンダーの背骨になります。市町村や観光協会のイベント一覧を眺めると、自分では思い出せなかった行事の抜けに気づけます。
手順2:プロンプトでたたき台を作る(全文公開)
メモができたら、以下のプロンプトの【店の情報】と【地域の行事メモ】を自分の内容に差し替えて実行します。ChatGPTでもGeminiでもClaudeでも、そのまま使えます。
あなたは新潟県の中小企業の販促担当者を支援するアシスタントです。
以下の情報をもとに、来年1年分の「年間販促カレンダー」のたたき台を
月ごとの表(Markdownの表)で作ってください。
【店の情報】
・業種:道の駅の直売所(例。自分の業種に差し替える)
・主な商品と旬:春=山菜、夏=枝豆・トマト、秋=新米・きのこ、冬=餅・漬物
・客層:地元の常連6割、県外の観光客4割
【地域の行事メモ】
・4月下旬:桜まつり(近隣の公園)
・8月上旬:花火大会(車で10分)
・10月中旬:収穫祭(自店開催)
・2月:雪まつり(市内)
【表の条件】
・列は「月/地域の行事・旬/販促テーマ/打ち手の候補/準備開始の目安」の5つ
・打ち手の候補は、SNS告知・店頭POP・LINE配信・イベント出店から月2つまで
・準備開始の目安は、行事の1か月前を基本に逆算して書く
・行事や旬はメモにあるものだけを使い、推測で地域の行事を足さない
・売上の金額予測は書かない
条件の最後の2行がこのプロンプトの肝です。「推測で行事を足さない」を入れないと、AIがそれらしい架空のイベントを補ってしまうことがあります。また「準備開始の目安」の列を入れることで、カレンダーが単なる予定表ではなく「いつ動き出すかの合図」に変わります。
手順3:たたき台を現場の事情で削る
AIの出力はあくまでたたき台です。次の3つの観点で削ります。
- 在庫と仕入れ:旬の走りは量が読めないので、告知を1週間遅らせる判断もある
- 人手:行事と繁忙期が重なる月は、打ち手を月1つに減らす
- 過去の実績:去年反応が薄かった企画は、内容を変えるか外す
経験上、AIのたたき台は「理想的すぎる」ことが多く、そのまま実行すると現場が息切れします。削る作業こそ人間の仕事です。ここまでできれば、販促の景色が変わります。
手順4:月1回、ひとことメモで更新する
カレンダーは作った瞬間から古くなり始めます。月末に5分だけ、「やった打ち手」と「反応のひとことメモ」を書き足してください。「枝豆のLINE配信、開封が多かった」程度で十分です。この1行の積み重ねが、翌年のカレンダーを作るときの一番の資料になります。翌年はゼロから作り直すのではなく、今年のカレンダーと実績メモをAIに渡して「これを踏まえて来年版に更新して」と頼むだけになります。
よくある落とし穴:なぜこの順番なのか
現場でつまずきやすいのは次の2つです。ひとつは、AIの出した行事の日付をそのまま信じること。地域の行事は年によって日程が動くので、日付は主催者の発表で確かめる前提で使います。もうひとつは、最初から完璧なカレンダーを目指して手が止まること。この型が「棚卸し→たたき台→削る→更新」の順になっているのは、粗くても一周回すほうが、時間をかけた一発勝負よりも着実に良くなっていくからです。
明日やれる一歩
手順1のメモを全部書こうとしなくて構いません。まずは「直近3か月の地域の行事」を3行だけ書き出してください。3行あれば、手順2のプロンプトの「来年1年分」を「今後3か月分」に変えてそのまま試せます。小さく一周回してみて、手応えがあれば1年分に広げる。それがカレンダー運用の一番現実的な始め方です。