道の駅や直売所、観光施設を運営していると、Googleマップや旅行サイトに口コミが日々たまっていきます。返信した方がいいと分かっていても、レジ締めや品出しの合間に一件ずつ文面を考えるのは大変で、つい後回しになりがちです。この記事では、AIに口コミ返信の下書きを任せるための「型」を作る手順と、良い口コミ用・厳しい口コミ用それぞれのプロンプト全文を公開します。読み終えたらそのままコピーして使えます。
なぜ返信に「型」が要るのか
口コミへの返信は、書いてくれた本人へのお礼であると同時に、これから行こうか迷っている人への発信でもあります。閲覧者は星の数だけでなく「お店がどう応えているか」まで見ています。つまり返信は接客の延長であると同時に、集客のための情報発信でもあるのです。
だからこそ、その場の思いつきで書くと品質がばらつきます。忙しい日はそっけなく、クレームが怖い日は謝りすぎる。型を先に決めてAIに下書きさせれば、誰が担当しても一定の水準を保てます。
手順:型作りは3つの決めごとから
プロンプトを書く前に、次の3つを決めてメモしておきます。ここが返信の骨格になります。
- 名乗りと結びを決める:「駅長の◯◯です」と個人で名乗るか、「スタッフ一同」とするか。結びの一文(「またのお越しをお待ちしております」など)も固定します。
- 使う言葉・使わない言葉を決める:施設の呼び方(当駅・当店)、商品名の表記、絵文字の可否。地域の言葉を一言入れるかどうかもここで決めます。
- 厳しい口コミの線引きを決める:返信欄で完結させる範囲と、電話やメールでの個別対応に切り替える基準(返金の要求、けが・体調不良の申し出、スタッフ名指しの苦情など)を分けます。AIに下書きさせるのは前者だけです。
この順番には理由があります。1と2を先に固定しておかないと、AIの出力が毎回違う「声」になり、返信欄全体で見たときにお店の人格がぶれて見えるからです。
良い口コミへの返信プロンプト全文
あなたは新潟県の道の駅で口コミ返信を担当するスタッフです。
以下のGoogleマップの口コミに対する返信文を2案作ってください。
# 施設情報
- 施設名:(あなたの施設名)
- 名乗り:スタッフ一同
- 結びの一文:またのお越しを心よりお待ちしております。
# 口コミ本文
(ここに口コミを貼り付け)
# 条件
- 120〜180字、3〜4文でまとめる
- 1文目はお礼。2文目で口コミに書かれた具体的な内容(商品名・場所・体験)に必ず触れる
- 宣伝やキャンペーン告知は入れない
- 絵文字や飾り記号は使わない
- 口コミにない情報(味の感想の代弁など)は足さない
- 2案は文の構成を変えて出す
ポイントは「2文目で具体的な内容に必ず触れる」の一行です。これがないと、どの口コミにも貼れる汎用文が出てきて、閲覧者に定型コピペだと見抜かれます。
厳しい口コミへの返信プロンプト全文
あなたは新潟県の道の駅で口コミ返信を担当する責任者です。
以下の厳しい口コミに対する返信文の下書きを1案作ってください。
# 施設情報
- 施設名:(あなたの施設名)
- 名乗り:駅長の(苗字)
- 個別対応の連絡先:(電話番号またはメールアドレス)
# 口コミ本文
(ここに口コミを貼り付け)
# 条件
- 150〜250字
- 1文目は「不快な思いをさせたこと」へのお詫びに限定し、事実関係を認める謝罪はしない
- 指摘のうち店側で未確認の部分に触れる文には【事実確認】と印を付ける
- 言い訳や反論はしない。ただし事実と異なるかもしれない点を認める文も書かない
- 改善に向けた行動を1つだけ、具体的に書く
- 詳しい状況をうかがいたい旨と、個別対応の連絡先で結ぶ
肝は、お詫びの範囲を分けているところです。AIは現場で何があったか知りません。条件を付けずに任せると「ご指摘の通り、当店の管理不足でした」と事実を全面的に認める文を平気で書きます。実際には誤解や別のお客様との取り違えだったというケースは珍しくなく、公開の場で一度認めた非は後から訂正しにくいものです。だから「不快にさせたことへのお詫び」と「事実を認める謝罪」を切り分け、未確認の部分には印を付けさせて、掲載前に人が判断する設計にしています。
現場でよくある落とし穴
- そのまま貼って「AIっぽさ」が並ぶ:AIの下書きは丁寧ですが、10件並ぶと口調が揃いすぎて機械的に見えます。掲載前に1か所だけ自分の言葉に置き換えてください。「枝豆は今週が一番の売りどきです」のような、現場にいる人しか書けない一言が入ると、途端に人の返信になります。
- 口コミ本文を個人情報ごと貼り付ける:投稿者のアカウント名に実名が含まれていたり、本文にスタッフの氏名が書かれていたりします。AIツールに渡す前に伏せ字にしてください。
- 厳しい口コミに即レスしてしまう:大事なのは早さより順番です。事実確認、個別対応の要否判断、それから返信。AIで下書きが数分で出るからこそ、確認を飛ばして投稿してしまう事故が起きやすくなります。
明日やれる一歩
まず手順の3つの決めごとから……と言いたいところですが、もっと小さく始めましょう。明日、直近の「良い口コミ」を1件選び、良い口コミ用プロンプトに貼り付けて2案出してみてください。良い口コミへの返信は失敗のリスクがほとんどなく、型の効果を安全に体感できます。厳しい口コミ用は、その感触をつかんでからで十分です。
返信が積み重なれば、口コミ欄そのものが「応対の見えるお店」という看板になっていきます。