ドコモが変えた「質問のさせ方」

NTTドコモが、契約や料金についての問い合わせ対応に新しい対話AIを取り入れたと報じられている。これまでのチャット対応は、客が用件を正確な言葉で伝えないと欲しい答えにたどり着けなかった。今回の仕組みは逆で、客が「あれ、どうなってる?」のような曖昧な聞き方をしても、AIの方から「料金のことですか、それとも解約のことですか」と聞き返し、やり取りを重ねながら意図を絞り込んでいく。対話AIの基盤にはPKSHA Technologyの技術が使われているという。

専門用語を抜きにすれば、「客に正しく質問させる」仕組みから「AIが質問を聞き返して整理する」仕組みへの転換だ。

図1: 客が正確に聞く前提の対応と、AIが聞き返して絞り込む対応の比較

新潟の現場に置き換えると

道の駅や宿泊施設の電話・窓口対応でも、似た場面は多い。「今日って何かやってます?」「あの部屋空いてる?」といった曖昧な問い合わせに、担当者はいつも聞き返しながら答えを絞り込んでいる。この聞き返しの部分をチャットや自動応答に任せられれば、少人数の現場で電話が集中する時間帯の負担は減らせるはずだ。

一方で、聞き返しの設計にはFAQの整理と会話パターンの用意が要る。大手通信会社のような規模で作り込む余力は中小にはなく、聞き返しが多すぎればかえって面倒に感じられる。まずは「よく聞かれるが漠然とした質問」を1つに絞って試す方が現実的だろう。実際、窓口で聞き返しているのは担当者の経験と勘であることが多く、それを言葉にして書き出すところから始めるのが早道だと思う。

明日からできる一歩

自社のLINE公式アカウントや問い合わせフォームで、答えにくかった曖昧な質問を1件思い出してほしい。それに対して「まず何を聞き返すべきだったか」を1行書き出してみる。これだけでも、聞き返しを前提にした対応の設計は始められる。AIと設計の型があれば、こうした仕組みは自社でも組み立てられる範囲の話であり、いきなり大がかりな導入をする必要はない。

図2: 曖昧な質問を書き出し、聞き返しを設計し、小さく試すという3ステップ

道の駅の窓口業務は、来訪者との短いやり取りの積み重ねだ。その積み重ねをAIに一部任せられるかどうかは、今日の1件を書き出すところから見えてくる。