言いにくいメールほど、後回しになる

値上げのお願い、納期変更の連絡。書かなければと思いながら、つい後回しにしていないでしょうか。原材料の高騰で加工品の卸価格を上げたい、天候不順で産直野菜の出荷が遅れる——新潟の現場では珍しくない場面です。

言いにくいメールが書けないのは、文章力の問題ではありません。申し訳なさが先に立って、お詫びと言い訳で文章が膨らみ、肝心のお願いがぼやけてしまうからです。そこでAIの出番です。申し訳ないという気持ちは人が持ったまま、文章の組み立てだけをAIに任せます。

図1: 言いにくいお願いメールでAIに渡す3つの欄(変わる事実・理由・相手への配慮と代替案)

渡すのは「事実・理由・代替案」の3つ

コツは、メールの中身を3つの欄に分けてから渡すことです。道の駅の直売所が、取引先の宿へ笹団子の卸価格変更をお願いする例です。

あなたは道の駅の直売所の担当者です。取引先への依頼メールを下書きしてください。

【変わる事実】笹団子の卸価格を10月1日納品分から1箱1,200円→1,350円に変更したい
【理由】もち米と包装資材の仕入れ値が上がった。2年間は据え置きで努力してきた
【相手への配慮・代替案】9月末までの発注分は現行価格。まとめ発注の相談には応じる

守ること:
- お詫びは冒頭に一度だけ。繰り返さない
- 理由は【理由】に書いたことだけ。脚色や言い訳を足さない
- 新しい価格と適用日は、本文の前半にはっきり書く

なぜ「お詫びは一度だけ」が効くのか

自分で書くと、申し訳なさからお詫びが3回も4回も入り、値上げ幅が文末に隠れがちです。しかし相手が本当に知りたいのは「いくらに、いつから、なぜ」。お詫びだらけの長文は、かえって相手の読む負担を増やします。

もうひとつ、【相手への配慮・代替案】の欄を埋める作業そのものに価値があります。ここが空欄のままなら、それはまだ「お願い」ではなく一方的な通告だというサインです。書けなければ、送る前に代替案を考える。下書きが交渉の準備を兼ねるわけです。

図2: 自分で書いた場合と型で下書きした場合の比較。お詫び一度・事実だけ・金額は前半に

明日やれる一歩

上のプロンプトの【 】3か所を、いま抱えている言いにくい連絡の内容に書き換えて、下書きを出してみてください。送るかどうかは読んでから決めればいいのです。「書けない」から「読んで直す」に進むことが、後回しをなくす一番の近道です。