月に一度の定例ミーティング。道の駅の運営会議、観光協会の役員会、加工品を作る会社の月例会。集まる顔ぶれも話す順番も毎月ほぼ同じなのに、アジェンダは前日の夜に前月分をコピーして書き換える。そんな現場は多いはずです。
7月の記事では、1回の会議のアジェンダと事前資料をAIで整えるプロンプトを紹介しました。今回は「毎月くり返す会議」に絞り、材料を3つ貼るだけで下書きが出てくる型に組み直します。
月次のアジェンダは「固定枠」と「今月の材料」に分けると自動化できる
月次会議のアジェンダが毎月ゼロからになる原因は、変わらない部分と変わる部分を分けていないことです。分けてみると、変わらない部分のほうがずっと多いことに気づきます。
固定枠は次の5つで足ります。
- 先月の数字(売上・来場者数・在庫など、動いたものだけ)
- 前回の宿題の進み(誰が・何を・どこまで)
- 今月決めること
- 今月のイベントと繁忙への備え
- 来月に向けて今から動くこと
一方、毎月変わる材料は3つだけです。前回議事録の「決まったこと・宿題」、先月の数字メモ、今月の予定と気になることのメモ。この3つをAIに渡し、固定枠に流し込ませるのが今回の型です。
手順は5ステップ、1回目だけ少し手間がかかります
- 固定枠を自社の言葉に直す。上の5つを土台に、たとえば道の駅なら「出店者からの声」を1枠足す。決めたら文書として保存し、毎月使い回す
- 前回の議事録から「決まったこと」と「宿題」の部分だけをコピーする。議事録全文は不要で、この2つがあれば足ります
- 先月の数字を3行以内にまとめる。「売上は前年同月比でやや増、来場者は横ばい、加工品の在庫が多め」程度の粗さで構いません
- 今月の予定と気になることを箇条書きにする。イベント、工事、人の出入り、仕入れ先からの連絡など、思いつく順で結構です
- 下のプロンプトに2〜4を貼り、出てきた下書きの時間配分を見て、参加者へ送る
2回目以降は手順2〜5だけなので、慣れると10分で終わります。
ひとつ工夫を足すなら、材料3つを書きためる場所を毎月同じメモにしておくことです。共有フォルダに「月次会議の材料」というメモを1枚作り、気になることが出た時点でその都度1行足していく。すると会議の前日に思い出す作業がなくなり、貼る材料はすでにたまっている状態になります。議事録を書く人と材料をためる人が別でも、メモが1枚なら引き継ぎで迷いません。
そのまま使えるプロンプト全文
あなたは中小企業の月次ミーティングの進行補助です。
以下の【固定枠】の順番で、今月のアジェンダを下書きしてください。
【固定枠】
1. 先月の数字(動いたものだけ)
2. 前回の宿題の進み
3. 今月決めること
4. 今月のイベントと繁忙への備え
5. 来月に向けて今から動くこと
【前回の議事録から:決まったこと・宿題】
・年末感謝祭は12月の第2土曜に開催(担当:店長)
・加工品の新パッケージ案を3つ集める(担当:売場A、期限:今月の会議まで)
・駐車場の案内看板を見積りに出す(担当:総務)
【先月の数字メモ】
・売上は前年同月比でやや増、来場者数は横ばい
・加工品の在庫が多め、特にジャムが動いていない
【今月の予定・気になること】
・10月の連休は例年より出店者が2組少ない
・パートさんが1名、11月から産休に入る
・県の観光キャンペーンのチラシ掲載の締切が来週
条件:
・持ち時間は60分。各枠に時間を割り振る
・「前回の宿題の進み」は担当者名つきで箇条書きにし、進み具合の欄は空けておく
・「今月決めること」には、材料から決めるべき事柄を拾い、1つずつ「○○を決める」の形で書く
・報告だけで済む項目は「事前共有」と印をつけ、会議で話す項目と分ける
・事実として書かれていないことは補わず、不明な点は「確認」と書く
「今月決めること」を自分で書かず、AIに材料から拾わせるのがポイントです。上の例なら「連休の出店者の穴をどう埋めるか」「産休中の人繰り」「キャンペーンに載せる商品」が拾われます。自分では気づいていなかった決め事が、材料の中から浮かび上がることがよくあります。
現場でよくある落とし穴と、なぜこの順番なのか
型を回し始めると、つまずきどころはだいたい決まっています。
宿題を貼り忘れて、前回の宿題が消える。 AIは渡されていないことを知りません。議事録全文を貼る必要はありませんが、「決まったこと・宿題」の部分だけは毎月欠かさず貼ってください。これが抜けると、決めたはずのことが翌月なかったことになります。
数字を全部並べて、報告会になる。 売上表をそのまま貼ると、AIは律儀に全部を議題化します。数字は「先月と比べて動いたもの」だけに絞るのが、決める時間を残すコツです。
「今月決めること」が0件でも、60分の会議を組んでしまう。 材料から決め事が拾えなかった月は、会議を30分に短縮するか、事前共有だけで済ませる選択肢があります。アジェンダが空だと分かることも、この型の効用のひとつです。
固定枠の順番が「宿題の進み」を数字の直後に置いているのには理由があります。会議の頭で前回からの続きを確認すると、参加者の頭が「先月の続き」に切り替わり、決め事の議論が前回の積み上げから始まります。逆に宿題を最後に回すと、時間切れで飛ばされ、翌月また同じ話をすることになります。
明日やれる一歩
まず、前回の月次会議の議事録を開き、「決まったこと」と「宿題」の部分だけを抜き出してメモに貼ってください。固定枠もプロンプトも、それからで間に合います。この抜き出しが5分で終わるなら、翌月からアジェンダ作りは10分の仕事になります。