「営業時間は何時までですか」「雪の日もやっていますか」。電話を取るたびに、同じ質問に同じ答えを繰り返している——そんな心当たりはないでしょうか。答えをホームページの「よくある質問」ページにまとめておけば、お客様は電話をかける前に自分で解決でき、スタッフは目の前の接客に集中できます。分かってはいるけれど、まとまった時間が取れず後回し。この記事では、AIの力を借りて半日(約4時間)で公開まで持っていく手順を紹介します。

なぜ半日で作れるのか。作業の全体像

よくある質問ページ作りが後回しになる一番の理由は、「文章をゼロから書く仕事」だと思われているからです。実際には違います。答えは、毎日の電話や店頭対応の中でもう口にしています。やることは書くことではなく、すでに答えていることを集めて、AIに清書させること。だから半日で終わります。

手順は次の5つです。

  1. 質問を集める(90分)
  2. AIで質問を整理・グループ分けする(30分)
  3. 回答の下書きをAIに頼む(60分)
  4. 数字と固有名詞を人が事実確認する(45分)
  5. まず10問で公開する(30分)

図1: よくある質問ページを半日で作る5ステップと時間配分

手順1: 質問を集める(90分)

ここが全体の本体です。紙を1枚用意して、この1カ月に電話・メール・店頭で聞かれたことを、思い出せるだけ書き出します。このとき、電話番やレジ担当のスタッフに必ず聞いてください。経営者が思う「よくある質問」と、現場が実際に受けている質問は、たいていずれています。

道の駅なら「営業時間」「定休日」のほかに、現場からは「大型バスは停められるか」「ペット連れは入れるか」「あの野菜は今の時期あるか」「地方発送はできるか」といった質問が出てきます。目標は20個。多い分には構いません。

手順2: AIで質問を整理する(30分)

集めた質問をそのままAIに貼り付け、重複の統合とグループ分けを頼みます。頼み方は「似た質問をひとつにまとめ、『営業案内』『アクセス』『商品・発送』のようなグループに分けてください。質問文は、お客様が実際に口にした言い回しを残してください」。

最後の一文が大切です。「駐車場のご利用について」ではなく「大型バスは停められますか?」のまま載せる。お客様はページの中を自分の言葉で探すので、話し言葉の質問文のほうが目に留まります。

手順3: 回答の下書きをAIに頼む(60分)

回答づくりには、次のプロンプトをそのまま使えます。【 】の中を自社の内容に差し替えてください。

あなたは【道の駅◯◯】のスタッフです。
以下の質問それぞれに、ホームページの「よくある質問」用の
回答を書いてください。

【施設の事実】
・営業時間: 9時〜17時(12月〜2月は16時まで)
・定休日: 毎週水曜(祝日の場合は翌日)
・駐車場: 普通車80台、大型バス5台
・ペット: 屋外はリード着用で可、建物内は不可

【守ること】
・回答は2〜3文の短い文章にする
・【施設の事実】に書かれていないことは推測で書かず、
  回答欄に【要確認】とだけ書く
・言い切れないことは「〜の場合があります」と幅を持たせる
・「詳しくはお電話で」を毎回の回答につけない
  (電話を減らすためのページなので、本当に必要な質問だけにする)

【質問リスト】
(手順2で整理した質問を貼り付け)

要点は【施設の事実】を先に渡すことです。渡さずに頼むと、AIは一般的な道の駅の営業時間をそれらしく埋めてしまいます。事実にないことは【要確認】で止まる指定にしておけば、知らないことを勝手に書かれる事故を防げます。

手順4・5: 事実確認して、まず公開する(75分)

下書きの数字(営業時間・料金・台数)と固有名詞を、料金表や掲示物の原本とひとつずつ突き合わせます。【要確認】の箇所は分かる人に聞いて埋める。ここは人の仕事で、AIに任せてはいけない工程です。

確認が済んだら公開します。デザインに凝る必要はありません。既存のホームページに1ページ足すだけで十分です。ホームページの更新がすぐにできない事情があるなら、Googleビジネスプロフィールに主要な10問を載せる方法もあります。

現場でよくある落とし穴

  • 会社が「答えたい質問」を並べてしまう。 「当店のこだわりは?」のような、聞かれてもいない質問が並ぶページです。よくある質問は宣伝の場ではなく、電話を減らす道具。載せるのは実際に聞かれた質問だけです。
  • 完璧を待って公開が遅れる。 20問そろわなくても、10問で公開して足していけば十分です。
  • 公開して終わりになる。 料金や営業時間は変わります。冬季営業に切り替わる前など、見直し日を年2回決めておきます。

図2: 現場でよくある落とし穴3つと、それぞれの対策

質問リストは、ページを作って終わりではない

この手順で一番時間を割いているのは、AIを使う工程ではなく手順1の質問集めです。AIが手伝えるのは整理と清書だけで、どの質問を載せるべきかは現場にしか分かりません。そして「質問が集まらない」場合、それは問い合わせが少ないのではなく、記録していないだけのことがほとんどです。

もうひとつ。ここで作った質問リストは、以前紹介した問い合わせチャットボットの試作でも土台になるものと同じです。先にページとして公開しておけば、あとでチャットボットに進むときも同じリストがそのまま使えます。よくある質問は一度きりの作品ではなく、育てていく自社の資産です。

明日やれる一歩

半日の作業日を決める前に、今日、電話や店頭で受けた質問を3つメモに書き出してください。電話機の横にメモ用紙を置いて1週間書きためれば、手順1の材料はほぼそろいます。作業日を予定に入れるのは、それからで間に合います。