企画のメモをAIに見せて「どう思う?」と聞くと、たいてい「魅力的な企画ですね」と褒めてくれます。ただ、会議で上司や現場から出る「それ、誰が来るの?」という一言には備えられません。AIには褒めさせるより、先に反対させたほうが企画は固まります。

「どう思う?」が効かない理由

AIは聞かれた通りに答えます。感想を聞けば感想が、良い点を聞けば良い点が返ってきます。逆に「反対意見を出して」と頼めば、同じAIが同じ企画の弱いところを並べてくれます。会議の前に反対を浴びておけば、本番で出る質問の半分は答えを用意した状態で臨めます。

図1: 「どう思う?」と聞くと褒めて終わり、立場を決めて「反対して」と頼むと穴が見える比較

壁打ちの型は3ステップ

  1. 企画を5行で書く。 何を、誰に、いつ、いくらで、なぜ今か。長い資料は要りません。
  2. 立場を決めて反対させる。 「反対して」だけだと一般論になります。予算を握る役員、来なさそうなお客、当日動く現場スタッフのように、誰として反対するかを指定します。
  3. 答えられない指摘だけ企画に足す。 出てきた反対に自分で答えてみて、答えられなかったものが企画の穴です。そこを埋める1行を企画に加えます。

道の駅で12月の週末に「冬野菜の鍋セット販売会」を企画したとして、こう頼みます。

以下は道の駅の企画案です。あなたは「予算を握る役員」「平日は来ない近所の40代のお客」「当日レジに立つパート職員」の3人として、それぞれの立場から反対意見を3つずつ述べてください。褒め言葉は不要です。最後に、3人が共通して心配している点を1つ挙げてください。

【企画案】
・12月の第2・第3土日に、地元農家の冬野菜と味噌を組み合わせた鍋セットを販売
・1セット1,800円、1日30セット限定
・産直コーナー前に試食台を出す
・狙いは12月の来客数の落ち込み対策

なぜ立場を決めると効くのか

現場で試して感じるのは、立場を指定した反対は、実際の会議で出る言葉に近いということです。役員役は「30セットで売上はいくら、人件費は」と数字を突き、お客役は「鍋の材料なら近くのスーパーで揃う」と言い、パート職員役は「試食の補充とレジを一人で回せない」と言います。立場のない一般論だと「天候リスクがあります」のような、誰も否定しないが企画も動かない指摘に寄ります。

反対を「3つずつ」と数で区切るのも大事です。数を決めないと10個並んで読む気が失せます。3つなら、どれに答えられてどれに答えられないかがはっきりします。

図2: 役員・お客・現場スタッフの3つの立場から出る反対意見の例と、答えられない指摘を企画に足す流れ

明日やれる一歩

いま手元にある企画のメモを5行にまとめて、上のプロンプトの【企画案】の部分に差し替えて送ってみてください。反対役の3人は、自社で実際に企画を通す相手の顔に合わせて書き換えると、より会議に近い反対が返ってきます。答えられなかった指摘が1つでも見つかれば、その企画は会議の前に一段固くなっています。