「うちの商品なんて、AIに聞けば分かるんでしょう。サイトを作り込む意味はまだありますか」。道の駅や観光の現場で、こうした相談を受けることが増えました。結論から言えば、意味は小さくなったのではなく、変わったと考えています。
サイトは「見せる場」から「AIが拠りどころにする元データ」へ
以前のサイトの主な役割は、検索した人に見てもらい、良い印象を持ってもらうことでした。いまは、お客様がAIに「新潟で雪景色を楽しめて、日帰り温泉のある宿は?」と尋ね、AIが答えを組み立てる場面が増えています。
このときAIが材料にするのは、ネット上にある情報です。自社サイトに営業時間・価格・定休日・アクセス・商品の特徴が整理されていれば、それが回答の拠りどころになりえます。逆に何も書かれていなければ、他人の口コミや古い掲載情報から推測されます。自社の情報を、自社の言葉で、正確に置いておく場所。これが新しい役割です。
何が変わり、何が変わらないか
| 観点 | これまで | これから |
|---|---|---|
| 読み手 | 人が画面で閲覧 | 人とAIの両方 |
| 重視点 | デザイン・雰囲気 | 正確さ・更新の新しさ |
| 競争相手 | 近隣の同業サイト | 口コミ・予約サイト上の古い情報 |
| 失敗の形 | 見られない | 間違って紹介される |
変わらないのは、最終的に予約や来店を決めるのは人だという点です。AIの回答を見たお客様は、確認のために公式サイトを開きます。そこで情報が古いと、一気に信頼を失います。
現場でよくある判断ミス
支援の現場で目にする判断ミスは、大きく3つあります。
- 「どうせAIが答えるから」とサイトを放置する。 冬季の営業時間が夏のままになっていた、というのが典型です。AIは古い情報も同じ自信で答えます。
- 逆に、デザインだけ作り直して満足する。 写真は美しいのに、価格や定休日が画像の中にしか書かれていない。文字として読めない情報は、AIにも検索にも拾われにくくなります。
- 予約サイトや地図サービスの掲載だけで安心する。 他社の枠は便利ですが、内容の誤りに気づくのが遅れがちです。
たとえば6次産業で、新商品の味噌漬けを出したとします。原材料、賞味期限、買える場所、おすすめの食べ方を自社サイトに一枚で書いておけば、「新潟で手土産に向く味噌漬けは?」という質問に答える材料になります。書かなければ、土俵にすら上がれません。
自社サイトに置くかの判断フロー
何を載せるかは、次の3つの問いで決めると迷いません。
- お客様がAIや人によく尋ねる質問か(営業時間、駐車場、アレルギー対応など)
- 間違って伝わるとクレームや機会損失になるか(価格、休業日、予約条件)
- 自社しか正確に書けない情報か(商品の由来、つくり手の考え、季節ごとの変更)
3つのうち2つ以上に当てはまる情報から、先にサイトへ書く。この順番が費用対効果の面で現実的です。キャッチコピーや凝った演出は、その後で十分間に合います。
明日やれる一歩
明日、次の作業を30分で行ってみてください。
- ChatGPTなどのAIに「(自社名・地域名)の営業時間と定休日、おすすめ商品を教えて」と聞く
- 答えの中の間違いと古い情報をメモする
- そのメモを、自社サイトに文字で書く項目の最初のリストにする
つまずきやすいのは、見つけた間違いを一度に全部直そうとして手が止まることです。最初は営業時間・定休日・価格の3点だけに絞り、直したら更新日を文末に添えてください。道の駅のように季節で営業時間が変わる施設なら、「冬季は何時から何時まで」と季節ごとに分けて書くだけでも、AIの回答の精度と来訪者の安心感は変わってきます。更新は月に一度、担当者を一人決めて習慣にするのが続けるコツです。
自社サイトの価値は、飾ることから「正しく伝え続けること」へ移っています。まずはAIの答えを、自社の目で採点するところから始めてみてください。